メニュー 閉じる

STOP!環境ホルモン―赤ちゃんが危ない―

STOP! 環境ホルモン

生活関連(パーソナルケア)用品・化粧品・香料

 抗菌、消臭、芳香、紫外線防止、長期品質保持という目的から生活用品などに添加されている化学物質。そのために、私たちの日常生活はさまざまな環境ホルモンにさらされています。毎日使う製品だからこそ、より安全で安心なものが使われるべきです。以下に、生活関連用品や化粧品に含まれる4つの環境ホルモンを取り上げます。

トリクロサン

 トリクロサンは、医薬部外品で消毒・殺菌効果をうたう多くの商品に使用されています。DDTなどの有機塩素系農薬に似た化学構造を持ち、非常に高い生物蓄積性があります。環境ホルモン物質としても知られ、海外では最近、発達や生殖に影響するなどの危険性が話題になっています。妊婦のトリクロサンのばく露がエストロゲンの分泌異常を引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性を示す研究もあります*1。
 ノルウェーは、トリクロサンのばく露により子どものアレルギーのリスクが増大するという米国との共同研究の結果を受けて2001年に使用を制限しました。また、AMA(米国医師会)は2002年に「抗菌剤入りの洗剤を日常的に使うことにより健康被害や耐性菌を生み出す危険性がある」と警告しました。米国FDA(食品医薬品局)も、「抗菌剤入りのせっけんに、普通のせっけん以上の感染予防効果がない上に、耐性菌を生み出す恐れがあり、安易な使用は慎むべきである」と発表しています。抗菌作用のある商品(抗菌グッズなど)の安易な使用は控えましょう。

ベンゾフェノン類

 ベンゾフェノン類*2は、紫外線吸収剤として、日焼け止めをはじめとする多くの商品に使用されています(表示例:オキシベンゾン-3)。また、代替物質として使われる紫外線吸収剤のメトキシケイヒ酸エチルヘキシルも環境ホルモンです。
 ベンゾフェノン類の中には、女性ホルモン作用と抗男性ホルモン作用を持つものがあり、男児の尿道下裂や高出生体重、女児の低出生体重との関連が疑われています*3。東京都健康安全研究センターは、それらの物質がラット肝細胞で中間代謝物を介して女性ホルモン作用を誘導すると報告しています*4。

合成ムスク類

 ムスクはジャコウともいわれ、ジャコウジカの香嚢から得られる分泌物質などのことです。その香りを真似て人工的につくられたものが合成ムスクです。
 世界で流通している合成香料は約500種類、そのうち日本では約300種類を製造しているといわれています。人工的に作られたさまざまな種類の合成香料は、日本では一般の化粧品成分として扱われず、何種類入っていても香料と記載すればいいことになっています。そのため、合成ムスクが入っていてもわかりません。
 合成ムスク類の一つムスクキシレンはREACH*5の高懸念物質に指定され、EUでは2011年2月にその製造と使用を規制しました。合成ムスクには女性ホルモンや男性ホルモンに影響するものがあり*6、中には発がん性物質もあります。
 日本では、メーカーが合成香料の一部を難分解性による慢性毒性が生じる可能性があるとして1996年から自主規制を始めましたが、大半の合成香料は規制がなく市場に出ています。岐阜市では2005年から香料自粛をお願いするポスターが病院や学校などの公共施設に張り出されています。ムスクの香りを強調した商品はもちろん、ムスクと表示されていない商品にも合成ムスクが使われている可能性があるので、芳香剤、消臭剤はできるかぎり避けましょう。

パラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)

 パラベンは合成防腐剤の一つで、日常生活で接する最も身近な環境ホルモンといえます。現在、日本で使用可能なものは11種類で、比較的大量に使われるのが4種類(メチル、エチル、プロピル、ブチル)です。2011年にデンマークは、環境ホルモン作用の強いブチルパラベンとプロピルパラベンの使用を3歳以下向けの商品(赤ちゃんのお尻拭きやお手拭きなど)に禁止しました。それを受けてEUの化粧品規制は、商品中の含有濃度の上限値を約3分の1に削減しました。スウェーデンのNGOケムセック(ChemSec)は全てのパラベンに環境ホルモン作用があるとして、より安全なものへ変更するよう提言しています。
 また、乳がんの腫瘍からメチルパラベンが多く検出されることもわかってきました*8。日本ではどのパラベンを使用しても「パラベン」「パラオキシ安息香酸エステル」のいずれかを表示すればよく、配合はメーカーまかせになっています。さらにパラベンが原料に使用されていても、化粧品メーカーがパラベンを添加しなければ、その化粧品はパラベン不使用、無添加となるため、このようなキャリーオーバーにも注意が必要です。
*1…Margaret O. et al. Environ. Int. 36(2010).
*2…JEPAホームページ「パンフレット『環境ホルモン最新事情』追加情報」参照。
*3…同上
*4…東京都健康安全研究センター『東京都健康安全研究センター研究年報』第56号、2005年
*5…EUの化学物質管理システム
*6…Schreurs et al. Toxicol. Sci. 83(2005). Mori et al. Environ Sci. 14(2007), Eisenhardt et al. Environ Res. 87(2001).
*8…Darbre PD et al. J.Appl Toxicol. (2004).

トリクロサンが含まれる主な製品
・‌薬用(抗菌)ハンドソープ・せっけん
・‌ボディケア用品(マッサージオイルなど)
・洗顔フォーム
・化粧水


成分表示に「トリクロサン」とあるものは使用を避けましょう。

ベンゾフェノン類が含まれる主な製品
・ボディソープ
・ヘアスタイリング
・縮毛矯正セット
・エナメルリムーバー
・‌シャンプー、リンス、トリートメント
・アイシャドウ
・ネイルカラー
・ネイルケアグッズ
・日焼け止め


成分表示に「オキシベンゾン」「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」などとあるものは使用を避けましょう。

合成ムスク類が含まれる主な製品
・吊り下げ型芳香剤
・エアフレッシュナー
・香水
・オードトワレ
・アロマオイル
・アロマエッセンス
・柔軟剤
・衣料洗剤


成分表示に「香料」とあるものは使用を避けましょう。

パラベンが含まれる主な製品
・ベビーローション
・ボディローション
・赤ちゃんお尻拭き
・入浴剤
・アイシャドウ
・日焼け止め
・クリーム
・ファンデーション
・リップスティック


成分表示に「パラベン」とあるものは使用を避けましょう。