メニュー 閉じる

PFASピーファス(有機フッ素化合物)汚染 – 環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて

PFASを避けるために

PFASに直接ばく露するケースと対策について考えてみましょう。

フッ素樹脂加工のフライパン、ファストフードの容器包装

フッ素樹脂加工のフライパンでは、高温で空焚きした場合に有害ガスが発生するので注意が必要です。
ファストフードのハンバーガーやフライドポテトなどの容器包装の油をはじく加工に使われるPFASの場合、低温で加工されるため、食品への移行が起こりやすいと考えられています。現に食品への移行テストでも、温度や時間などの条件で違いはあるものの溶出することが確認されています。
また、ファストフード店の利用頻度が高いほど、血液中のPFAS 濃度が上がるという調査結果もあります。2010〜2013年に実施された米国の疫学調査で、ファストフードの利用をほぼしない(月に3日以下)グループに比べ、低頻度(月6〜14日)のグループで血中のPFOA濃度は1.45倍増え、高頻度(月17日以上)では約2倍増えました。
その後PFOAの使用中止に伴い、PFOA及びその関連物質は2015年までに使用されなくなりました。しかしその代替物として使用されているのが、別の種類のPFASです。2020年に発表された米国の環境団体の調査では、全米3大ファストフードチェーン(マクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズ)の、21種類の商品中7商品の容器包装からPFASが検出されました。これら代替物質についても実は毒性があることがわかってきました。
国際的にはデンマークが2019年9月に食品容器包装について全てのPFASの使用禁止を発表しました。米国では、大手の食品事業者、レストランチェーンで、PFAS不使用が広まっています。しかし日本ではまだそうした動きは出ていません。ファストフードの利用は極力控えるようにしましょう。

浄水器を水道水対策として

PFASに汚染された水道水の対策について考えてみましょう。まず、煮沸消毒などの処理ではPFASは消えません。消えるどころか、逆に煮詰めることでPFASの濃度は高まることになります。
浄水器の有効性には、活性炭やイオン交換樹脂、逆浸透膜(RO)を使った浄水器では除去できる可能性があります。ただし、定期的に浄水器のカートリッジを交換する必要があります。また日本にはPFAS除去に関する規格基準はないため、メーカーに問い合わせて除去データを示してもらう必要があります。
米国では浄水器に対してPFAS除去の規格基準が定められていて、その規格基準をクリアした浄水器だけに「PFOS/PFOA除去」の表示が許されています。

化粧品などからたくさん取り込まれるPFAS

日焼け止めやファンデーション、シェービングクリームなどの化粧品やパーソナルケア製品の多くに、PFASが使われています。皮膚から吸収されたPFASは、食料などを口から摂取するのと同程度に健康に害を及ぼす恐れがあります*4。
化粧品にPFASを使う目的は、クリームを作る、皮膚から浸透しやすくする、皮膚をより明るく見せる、化粧崩れをなくすためなどです。とくにファンデーションでは、下地の崩れをなくすために合成樹脂(プラスチック)が配合されています。メイクアップコスメによく使われるのがPFASを含むフッ素変性シリコーンやシリコーン樹脂です。
日本化粧品工業連合会は、化粧品にはPFASを含む成分が約90種類あるとしています。日常的にPFASを含むクリームや化粧品を皮膚に塗っていると、皮膚から吸収されて血液中のPFAS濃度が上昇し免疫力が低下する恐れがあります。

*4 米国の産業労働安全研究所(NIOSH)の動物実験

子どもを守るために気をつけること

◆フッ素樹脂加工のフライパン・鍋・調理用具は避ける

焦げ付き防止などのためにフッ素樹脂加工された調理器具は、高温で空焚きするとPFASを含んだ有害物質が発生する可能性があります。ステンレス製、鉄製の鍋やフライパンを使いましょう。

◆防水スプレー、防汚処理された家具、カーペットは避ける

汚れや水をはじくカーペットの上で子どもを遊ばせると、PFASにばく露するので、できる限り避けましょう。

◆ファストフードのハンバーガーやピザは控える

ハンバーガーやピザにもPFASで防水・防油加工された容器包装が使われています。ファストフードの利用を控えましょう。

◆水道水汚染の可能性のある地域では、PFASを除去できる浄水器を使う

水道水の汚染が気になる地域では、活性炭やイオン交換樹脂、逆浸透膜を使った浄水器がおすすめです。

◆乳幼児を守るために床の掃除はこまめに!

室内のホコリには、家庭用品から揮発したPFASなどの有害物質がたくさん含まれています。赤ちゃんがハイハイする床の掃除は丁寧にしましょう。子どものPFASばく露の3分の1が室内のホコリが原因とする研究もあります。

◆妊娠・授乳中の女性や子どもは、PFASを含む日焼け止めや化粧品の使用は控える

日焼け止めや化粧品の多くにPFASが含まれています。皮膚に塗るとPFASがしみ込みます。とくに妊娠・授乳中の女性や子どもは、成分表示に「〜フルオロ〜」とある商品の使用は止めましょう。