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PFASピーファス(有機フッ素化合物)汚染 – 環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて

日本の規制は世界の後追い

日本では、国際条約に基づいて規制された有害化学物質は、化学物質審査規制法(以下、化審法)等に基づいて、製造、使用、輸出入の禁止や制限等の規制が実施されます。日本は、カネミ油症事件が1968年に発生し、1973年化審法を制定し、世界に先駆けてPCBの製造を禁止しました。しかし、その後の有害化学物質の規制は、諸外国での規制が先行し、日本国内への規制は後追いになっています。そのため、健康被害が続く可能性があります。

◆PFOS

PFOSは2009年5月にPOPs条約の附属書B(製造・使用、輸出入の制限)物質に指定され、特定の用途以外の使用が禁止されました。これに基づいて、2010年4月から化審法で、第一種特定化学物質に指定されました。現在では、代替が困難な半導体等の製造や業務用写真フィルムの製造等の3用途のみに、限定して、使用が認められています。

◆PFOA

PFOAは2019年5月にPOPs条約の附属書A(製造・使用、輸出入の禁止)物質に追加されました。これに基づいて、2021年10月から化審法の第一種特定化学物質に指定されました。
しかし、輸入される生地や衣服の撥水処理剤として、他のPFASが使用されており、不純物としてPFOAが混入している場合があります。EUでは、撥水処理剤中の不純物として混入するPFOAは25ng/gを超えないようにという規制があり、日本でも規制する必要があります。
またPFOSやPFOAを含む消火器・泡消火剤の使用後の廃棄物としての処理については、PCB特措法のような法律はありません。PFAS廃棄物について、その保管から適正処理までを一貫して管理する法律の制定が必要です。

◆その他のPFAS

PFHxSについては、POPs条約の対象物質として規制が検討されていますが、その他のPFASは検討すら始まっていません。世界では、個別物質ごとの規制ではなく、PFAS全体を対象にした規制が進められています。日本は世界の後追いから脱却し、率先して全てのPFASを規制することが求められています。

◆水道水質の管理目標値の設定

2020年4月に水道水質基準が見直されました。PFOSとPFOAに水道水質の管理目標値が設定されました。PFOSとPFOAの合計値で50ng/L(暫定)です。水質基準に準じて検査を実施し、管理する必要があります。
同じ数値が、2020年5月から水質環境基準の人の健康の保護に関する要監視項目に加えられ、暫定的な指針値が設定され、公共用水域でのモニタリングが開始されましたが、環境基準値に引き上げる必要があります。

化粧品のPFASは?

化粧にはPFASが含まれていることが多く、海外では化粧品へのPFAS添加を禁止する動きが進んでいます。

デンマーク2018年:デンマーク食糧・環境省は化粧品へのPFASのリスク評価を実施。化粧品22製品の調査の結果、ファンデーションのPFAS含有濃度が高値。
2019年:コープデンマークは小売店にPFASを含む化粧品の取り扱い中止を要請し代替品への変更を求めた。
米国2018年:米環境市民団体(EWG)は、家庭用品・パーソナルケア製品のPFASを調査。28ブランドの約200製品からPFASを検出。
2020年:カリフォルニア州議会は「有毒物質フリー化粧品法案」(Toxic-Free Cosmetics Act)を可決。がんや生殖機能に悪影響を与える恐れのあるパラベンやフタル酸エステルなど11物質とともに、PFOA、PFOSを含む長鎖(炭素数8個以上)のPFAS13成分を2025年より禁止。
2021年10月:米上下両院で化粧品への全てのPFAS添加の禁止を求める法案が提出された。