いま環境ホルモンは
人の血液や尿から検出された環境ホルモン
私たちの体内に存在する環境ホルモン。
それは、へその緒を通じて胎児へ移行している。
日本と米国の調査で検出された化学物質
環境省は2011~13年、国内9地域253人を対象に日本人の化学物質のばく露量についてのモニタリング調査*1を実施しました。この調査で血液と尿から検出された主な化学物質は、いずれも環境ホルモンです(表参照)。このうち血液から検出されたのはPCBやダイオキシン、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)などです。ばく露源は主に有機塩素系農薬で、そのほとんどが現在は使用禁止になっています。40~50年も前に環境中に放出されたこれらの化学物質は、分解されにくいため現在でも人体に残っているのです。
一方、尿から検出されたのは、比較的体外に排出されやすい化学物質です。食事を通してばく露する機会が多い農作物に残留する有機リン系農薬、ネオニコチノイド系農薬、その代謝物が尿から検出されています。従って、ばく露を避ければ体内への取り込みを減らすことができます。
同様の調査は海外でも行われています。2005年に米国の環境団体(EWG)が10人の赤ちゃんの臍帯血(へその緒に含まれる血液)を検査した結果、287種類もの化学物質が検出されました*2。環境ホルモンがへその緒を通じで母親から胎児に移行していることは明らかです。なお、287種類の化学物質の中には環境省の調査で検出された環境ホルモンも含まれていました。
ばく露による影響と評価は?
環境ホルモンにばく露すると必ず病気を発症するわけではありませんが、有害影響の確率(リスク)は増します。
EUでは環境ホルモン規制をめぐり、その費用と便益の影響評価を実施中です。環境団体(HEAL)は、環境ホルモンのばく露が減るとそれらによって起こる可能性がある疾患が2~5%減り、EU域内で毎年310億ユーロ(約4兆2千億円)の医療費削減などの効果が見込めるというキャンペーンをしています。
*1…「日本人における化学物質のばく露量について」環境省環境保健部環境安全課環境リスク評価室、2014年
*2…“Body Burden: the pollution in Newborn” Environmental Working Group
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