JEPAの提言
JEPAは、全てのPFASによる汚染から人の健康と生態系を保全するために、国に対し、以下の措置を講じることを提言します。
①PFOS・PFOAのみならず、全てのPFASを対象とする規制を導入すること
②水道水質基準については、現行の暫定目標値を基準値に改めるとともに、数値を強化すること。また、PFOS・PFOAのみならず、代替物を含め全てのPFASについての基準値を段階的に設定すること
③魚介類についての全てのPFASの基準値を設定するとともに、食品の汚染状況についての情報提供を行うこと
④PFOS・PFOAについての水質に係る環境基準・要監視項目の指針値を、環境基準に改めるとともに、数値を強化すること。また、PFOS・PFOAのみならず、代替物を含め全てのPFASについての基準値を段階的に設定すること
⑤PFOS・PFOAを含むPFAS廃棄物について、保管から適正処理に至る過程を一貫して管理する特別措置法を制定すること。
⑥清涼飲料水、家庭用品、食品容器包装、化粧品について、全てのPFASに関する含有・溶出規制を導入するとともに、その表示を義務付けること
⑦PFASによる汚染地域を特定し、地域住民に対する体内汚染および健康調査を実施するとともに、汚染源を究明し、浄化措置を実施すること
⑧一般国民を対象とする定期的なヒト・バイオモニタリング(HBM)を導入するとともに、体内汚染濃度の基準値を設定すること
バイオモニタリングって何?
ヒト・バイオモニタリング(HBM)とは、定期的に人の血液、尿、毛髪などの生体試料を採取・分析して、環境中の有害物質がどれくらい体内に取り込まれているかを調査する手法です。
環境中の有害化学物質による健康リスクは、その化学物質の有害性の程度と、人がその化学物質にどのくらいばく露しているかによって判断されます。水や大気中の有害化学物質については、定期的にその濃度が計測されています(環境モニタリング)。しかし、それらがどのくらい人の体内に取り込まれているかは不明です。HBMは、直接的に人の体内ばく露量を知ることができます。体内のばく露量の安全基準を設定し、それを超過している場合には、すみやかに規制等の措置を講じることによって、人の健康被害の発生を防止することができます。
日本では国際比較が可能な規模のHBMは行われていませんが、下表の国々ではすでに実施され、政策に反映されています。
国 | 調査・制度名 | 対象人数 | 対象年齢 | 対象物質数 | 周期 |
アメリカ | 国民健康栄養調査 | 7000人 | 1歳〜 | 352物質 | 毎年 |
カナダ | 化学物質管理計画 | 5000〜6000人 | 1〜79歳 | 250物質以上 | 2年 |
ドイツ | ドイツ環境調査 | 3000人 | 3〜17歳(GerES V) 18〜79歳(GerES VI) | 100物質 | 4年 |
韓国 | 韓国国家環境健康調査 | 5500〜6500人 | 3歳〜 | 26項目 | 3年 |