PFAS(ピーファス)って何?—第二のダイオキシン問題
PFASによる人体と環境汚染が進行中です。PFASは、パー(またはポリ)フルオロアルキル化合物の略称です。日本では有機フッ素化合物といい、化学的に最も結合力の強い炭素-フッ素結合を持つ人工化合物の総称です。現在、4700種類以上が存在しています。環境中できわめて分解されにくいため「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」と呼ばれています。
PFASは人や野生生物の体内で蓄積しやすく、北極のアザラシやホッキョクグマの体内からも検出され、米国人や日本人の調査でもほぼ100%の人たちの体内を汚染しています。PFASによる汚染はすでに地球全体に広がっており、第二のダイオキシン問題といえます。
PFASは熱や薬品や紫外線に強く、水と油の両方をはじくという特徴があるため、1950年代以降、多くの工業製品、消費者製品、石油火災用の泡消火剤など広範に使われてきました。
一方で、PFASは水に溶けやすいという性質があるため、工場からの排水や空港や軍事基地での泡消火剤の使用により周辺の地下水や水道水での顕著な汚染が見つかっています。そうした水を飲んだ地域住民の体内の蓄積量は高く、様々な健康被害が発生しています。
PFASの中で、最も多く使用されてきたのがPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(パーフルオロオクタン酸)の2物質です。この2物質については、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」で製造・使用、輸出入が禁止・制限され、他の物質への代替が進んでいます。PFOS、PFOAは炭素(C)の数が8個のものですが、それをより短い炭素数6個のPFAS(PFHxSやPFHxA)がその代替物です(下図参照)。短鎖のPFASのほうが、体内の蓄積性が低いとして代替化されましたが、最近の研究では短鎖のPFASも予想以上に毒性が高く、難分解性であることがわかってきました。
現在世界では、すでに禁止・制限された二つのPFASの残留に加え、これらの代替物である新たなPFASによる人体や環境の汚染が進行中です。