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PFASピーファス(有機フッ素化合物)汚染 – 環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて

世界中にあるホットスポット

PFAS汚染は世界各地に広がっています。ヨーロッパではPFASに汚染されている場所が約10万か所、米国では約12万か所あります。また、オーストラリアや日本でも、軍事基地や工場周辺の汚染が問題となっています。世界の汚染ホットスポットとして知られる4地域—米国中西部のオハイオバレー、オランダのドルトレヒト、イタリアのヴェネト地域、中国の山東省*3では、人の健康への影響について疫学調査が行われています。

◆米国 ミッド-オハイオバレー地区

米国ではPFAS汚染の疑いのある軍事基地(651か所)を含め、33州で1600万人が利用する水道水がPFASに汚染されており、汚染地区は 49 州で合わせて 2337 地区に及びます。最もPFAS汚染の深刻な場所が、ウエストバージニア州のミッド-オハイオバレー地区にあるデュポン社の工場周辺です。ここでは1950年から半世紀以上に及び、テフロン(フッ素樹脂)などの製造にPFOAが使われてきました。2001年にデュポン社への集団訴訟が起こり、和解により地域住民7万人の健康影響調査のための研究者グループC8 Science Panel(C8科学委員会)が組織されました。調査の結果、PFOA血中濃度は米国人平均の7倍でした。また、地域住民のPFOAばく露と、①妊娠高血圧症、②精巣がん、③腎臓がん、④甲状腺疾患、⑤潰瘍性大腸炎、⑥高コレステロール血症との関連が指摘されました。

◆オランダ ドルトレヒト地区

欧州最大のPFAS生産地であるドルトレヒトでは、1960年代からデュポン社など9工場でPFASが製造されてきました。2015年、オランダ政府は工場周辺住民の健康調査を行い、住民は長期にわたり基準を超える大気中のPFOAにばく露し、健康影響が懸念されると報告しました。

◆イタリア ヴェネト地域

1964年にPFAS工場がヴェネト地区で操業開始し、2011年にPFOA製造が中止されました。イタリアの環境省が行った調査(2013年)では、飲料水のPFOA汚染は非汚染地域の230〜3600倍。住民のバイオモニタリング調査(2015年)では、地区住民の血液中のPFOA濃度は非汚染地域の20倍も高値でした。

◆中国 山東省

中国最大のPFAS工場は山東省にあります。国内外の高まる需要を満たすため生産規模を拡大し続けています。2006年、世界の大手8社がPFOA生産を削減する一方、当工場ではPFOAの生産を増やしました。住民のばく露調査ではホコリが主要なばく露経路であることがわかり、工場周辺の子ども(2〜5歳)のばく露が健康影響を起こすレベルとされました。
*3 “PFC Pollution hotspots” Greenpeace Nov 2016

PFAS汚染4大スポット