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STOP!環境ホルモン―赤ちゃんが危ない―

STOP! 環境ホルモン

プラスチックなどから出る環境ホルモン

 食品容器やレジ袋、文房具、電気製品、日用雑貨など、私たちの身の回りにはプラスチック製品があふれています。プラスチックは、石油原料からいろいろな化学反応の工程を経て、加工されます。プラスチックには、柔らかくするための可塑剤や、燃えにくくするための難燃剤など、いろいろな添加剤が使用されています。添加剤の中には、環境ホルモンと疑われるものが多く、それらは熱や劣化などによって環境中に出てきます。

ビスフェノールA

BPAを原料とするポリカーボネート(PC)が使われている製品
・CD、DVD
・ヘアドライヤー、食器、電子レンジ用加熱食器
・携帯電話、パソコン

 ビスフェノールA(BPA)は、プラスチックの原料や添加剤として使われており、女性ホルモン作用を持ち、生殖・発生毒性があるとされています。また、最近の研究*1では、妊娠マウスに妊娠直後から毎日BPA(20μg/kg体重)を与えると、生まれた仔マウスの脳の発達に異常が生じました。BPAの代替物質であるビスフェノールF(BPF)、ビスフェノールS(BPS)も使用が増えていますが、これらも環境ホルモン作用が疑われています。
 私たちは、缶詰の内側のコーティング樹脂やポリカーボネート製食器からとけ出したBPAを飲食料品ととともに体内に取り込んだり、パーソナルケア製品などから皮膚を介して吸収したりしています。また、プラスチック製品から放出されたBPAを空気やホコリとともに吸い込んでいます。
 日本では、国内で製造される缶詰については事業者の自主的な取り組みによってBPAの使用が自粛されていますが、輸入品(食品缶詰の70%以上)については対策が取られていません。BPAを主な原料とするポリカーボネート製の容器・包装については、1993年にBPAの一日耐容摂取量(TDI)と溶出試験規格が決められました。しかし、こうした規制があっても、繰り返しの使用により基準を超えるBPAが溶け出す可能性があります。
 フランスでは、2015年1月から食品容器へのBPA使用を禁止しています。また2015年、欧州食品安全機関(EFSA)は、BPAの一日摂取許容量を日本と同じ50μg/kg体重/日から4μg/kg体重/日へと10分の1以下に引き下げました。

フタル酸エステル類

フタル酸エステル類が使われている製品
塩化ビニルなど柔らかいプラスチック製品。例えば、合成皮革シート、合成皮革コート、テーブルクロス、アコーディオンカーテン、浮き輪、ビーチボールなど。

 フタル酸エステル類は、プラスチックを柔らかくして、加工しやすくするために添加される可塑剤です。日用品、カーペット、家具、衣料品などに使われています。
 中でも最も多いのはポリ塩化ビニルの可塑剤として使われるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)です。DEHPが子どもの学習能力に影響を与えることを示す研究や、室内のホコリに含まれるDEHP濃度と子どもの喘息の関連性を示す研究もあります。
 日本では現在、DEHP、DBP、BBP、DINP、DIDP、DNOPの6種類のフタル酸エステル類に関して、6歳未満を対象とするおもちゃの材料に0.1%を超えて含有することを禁止しています。また、油脂、脂肪性食品を含有する食品に接触する器具・容器包装に、DEHP含有のプラスチック使用を禁止しました。上述した室内ダストのフタル酸エステル類とアレルギー疾患や喘息との関係を示唆する研究もあるので、他の製品も規制が必要です。

難燃剤(PBDEなど)

 製品を燃えにくくするために添加される化学物質が難燃剤です。カーテンやカーペットなどには、難燃加工されている商品が多く出回っています。難燃剤は主に、プラスチックやゴムなどの素材には練り込み、繊維や紙などの素材には表面に塗布します。そうした素材が家具やソファ、寝具、子ども服、テレビ、コンピューターなどの電気製品に幅広く使用されています。素材に添加された難燃剤は、少しずつ製品から出て室内の空気を汚染します。
 難燃剤にはいくつもの種類があり
ますが、その中で代表的なものはPBDE、PBB、TBBPA*2などの臭素系です。最も問題なのはPBDEで、環境中に残留し、人間や動物の体内に数年間も蓄積する可能性が指摘されています。また、2013年2月の米国カリフォルニアの研究では、胎児期と幼児期の臭素系難燃剤へのばく露は5歳、7歳の子どもの注意力、運動能力、およびIQを低下させる可能性があると示されました。
 私たちは、食品や空気、ホコリなどを通して、毎日のように難燃剤にばく露しています。EUはPBDEを含めた数種類の臭素系難燃剤を禁止していますが、日本ではメーカーの自主規制によるPBDE不使用にとどまっています。

有機フッ素化合物(PFCs)

 1990年代以降、世界中でヒトの血液を汚染する有毒性・残留性が高い物質と恐れられているのが、有機フッ素化合物(PFCs)です。有機フッ素化合物が血液中に高レベルで検出された子どもは衝動的だとする研究結果もあります*3。
 この化合物は水も油もはじく性質があるため、撥水加工やシミ防止加工の洋服、油をはじく食品容器や包装紙、焦げ付き防止加工(テフロン加工)の鍋やフライパンなど、さまざまな製品に広く使われています。
 それらを使用した商品には、「スコッチガード」の防水スプレー、世界的に有名な「テフロン」「ステインマスター」「ゴアテックス」などがあります。日常生活で私たちがばく露する可能性が高いのは、フッ素コーティングされたフライパンや防水スプレー、ピザ用包み紙などの食品包装紙です。100種類ぐらいの有機フッ素化合物がありますが、とくに有毒なのはパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)です。
 PFOSは、2008年から欧州では使用が禁止され、2009年5月には残留性有機化合物(POPs)リストに追加されました。日本でも2010年4月から化学物質審査法で第1種化学物質に指定され、代替品のない用途以外は使用禁止となりました。
*1…PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、PBB(ポリ臭素化ビフェニル)、TBBPA(テトラブロモビスフェノールA)
*2…国内の臭素系難燃剤の重要6万9500トンのうち約3万トンはTBBPA。
*3…Gump BB et al. Environ. Sci. Technol.2011.

室内には難燃加工された製品がたくさん
有機フッ素化合物を含む主な製品

油をはじく食品用容器、ファストフードの包装用紙(フライドポテト、サンドイッチ、ハンバーガーなど)焦げ付き防止加工の鍋やフライパン

防水スプレー、撥水やシミ防止加工の洋服・スポーツ用品

イラスト―水野玲子「見えない有害物質と子どもの健康講座」『食べもの通信』より