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STOP!環境ホルモン―赤ちゃんが危ない―

いま環境ホルモンは

人間の生殖にも影響が現れ始めた

男の赤ちゃんの尿道下裂や停留精巣が先進諸国で増加。
人間のメス化現象が現実に。

広がる「不妊症」と「不育症」

 今日、世界のカップルを悩ませている「不妊症」と「不育症」。日本でも今や7組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれ、私たち人間は子どもをつくるために生殖補助医療の助けが必要になってきました。日本産婦人科学会は、2012年に国内で約35万件の体外受精が行われ、3万7953人が生まれたと発表*1しています。その年、27人に1人の赤ちゃんが生殖補助医療によって生まれたことになります。
 最近注目されているのが、妊娠はしても流産や死産、早期新生児死亡を繰り返す不育症です。厚生労働省研究班は、妊娠女性の約4割に流産経験があり、不育症も16人に1人の割合でいると推定しています。また、現時点では不育症の約65%は原因不明だとしています*2。
 さまざまな生殖異変で野生生物が個体数を減らしていることを考えると、人間にも環境ホルモンの影響が現れている可能性があります。その要因の一例がプラスチック(ポリカーボネート・エポキシ樹脂など)の原料として使用されているビスフェノールA(BPA)です。この15年間の研究の蓄積により、BPAはマウスの卵細胞の生育を妨げたり、染色体を損傷させたりすることが明らかになりました。また、超低用量でもラットに精巣重量低下などが起きたという報告もあります*3。

男性生殖器官の異常が増えている

 人間にも「メス化*4」の兆しが現れています。その指標といわれる男児の先天奇形には、尿道下裂や停留精巣があります。尿道下裂は先天的なペニス(陰茎)の形態異常です。日本では1974年に出生時1万人当たり1.1人だった尿道下裂が、2011年には5.6人と、約5倍に増加*5しています。欧米でも同様に尿道下裂や停留精巣が増加しています。先進諸国の中でもデンマークでは、男児の停留精巣が最近50年間に約9倍になりました。これらの現象の背景には胎児期の男性ホルモンのかく乱(濃度の低下)が関連しているといわれています。
 図は、女性ホルモン作用のある環境ホルモン物質のフタル酸エステル類をばく露した動物実験で確かめられたメス化現象です。環境ホルモンのばく露によって、マウスなどのオスの肛門と生殖突起の間の距離(AGD)が短くなったり*6、精子数が減少したりすることが確認されています。同様のメス化が私たち人間にも起きている可能性があります。
*1…恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所編『日本子ども資料年鑑2014』KTC中央出版、2014年3月
*2…厚生労働省研究班ホームページ「フイク-ラボ」参照。
*3…『東京都健康安全研究センター 研究年報』第54号、2003年
*4…デボラ・キャドバリー『メス化する自然』集英社、1998年
*5…日本産婦人科医会「横浜市立大学先天異常モニタリングセンター調査」
*6…AGD(anogenital distance)の短縮化はオスのメス化の一指標とされている。